ところが、2024年における「結婚可能年収」は544万円にまで高騰してしまいました。実に2014年対比で約1.4倍です。頑張れば手の届く範囲の稼ぎであればまだやりようもありますが、年収300万円台の中間層の若者にとって500万や600万円を稼げといわれても「とても無理なので諦めます」となってしまうでしょう。
このような結婚に対する意識のインフレが、実際の若者の年収とあまりに乖離しずぎていて、その基準を満たす大企業や公務員くらいしか結婚できない状態になっているのです。事実、大企業や公務員の未婚率は増えていません。
そうした現実を作りあげている背景には、中間層以下の若者が抱える経済的不安が大きいわけですが、よくよく考えれば当たり前で、恋愛という行動をするためにはお金も時間も必要です。日常生活で精一杯ならとてもそんな余裕はないでしょう。
個人の力だけではどうにもならない問題
さらに身もふたもないことを申し上げれば、そうした年収の問題は、個人の力だけではどうにもならない問題があることです。生まれついてのその環境、つまり親の経済力次第で子の稼ぎも決定されてしまい、その経済状況がそのまま子の「結婚できない未来」をも決定してしまうからです。
こども家庭庁が実施した令和6年度 「若者のライフデザインや出会いに関する意識調査」において、15〜39歳の未既婚男女に対して親の経済状況を調査した項目があります。子の主観として、5段階で親の経済状況は「良かった」「どちらかといえば良かった」「普通」「どちらかといえば悪かった」「悪かった」別に集計したものですが、これらから出た割合を、2020年の国勢調査の年代別未既婚人口と掛け合わせて、それぞれの親の経済状況別の未婚率を計算しました。15〜24歳は差がないので、25〜34歳と35〜39歳を比較します。
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