
"継ぎはぎ"の文化住宅
前記事で取り上げたAPartMENTが改装された翌年、一部がオープンした複合施設「千鳥文化」もインパクトのある建物だ。
同施設は角地に建つL字型の建物で、おそらくは1棟ずつ建てられたのだろうが、地元で働いていた船大工などの手で増改築が繰り返され、現在の姿になったと推察される。そのせいだろうか、窓の位置や壁の材料などはそれぞれ異なり、改修された今もどこか"継ぎはぎ感"がある。
2014年以来空き家になっており、改装前の写真を見ると普通なら「壊す」判断をしそうな状態。ところが、千島土地は「残す」判断をした。
2004年以降、造船所跡地が「クリエイティブセンター大阪」になるなど北加賀屋には複数のクリエイティブ拠点ができてきていたが、そうした施設がオープンするのは主にイベント時。
それ以外の時に地域を訪れた人にも楽しんでもらえたり、アーティスト、クリエイターや地域住民が交流できる施設を作ろうという意図である。
そのため、千鳥文化では安心して訪れてもらえるよう、建物の部材をすべて実測、補強して使えるだろう部材をできるだけ活かして改修を行った。結果、建物内部も新しい材と古い材が入り交じる継ぎはぎ感満載の空間となっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら