「主婦なのに総菜を出すな」モラハラ気味の再婚夫に"涙で対抗"──48歳女性がつかんだ「晩婚ライフ」の現実と"工夫"

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「福岡の現場は東京に比べて人手不足で大変なのでイライラしていたのだと思います。家事は100%私がやっているのですが、『仕事をしていないお前は楽でいいよな』と嫌味を言われるようになりました」

真理子さんは気遣い上手だが器用なほうではない。料理をせずにスーパーで買った総菜を食卓に並べることもある。すると則之さんは「主婦なのに総菜を出すな」と一言。真理子さんががんばって料理をしても褒めたり感謝したりすることは少ない。

「主人の実家がそうなので習慣なのだと思います。結婚はお互いの欠点をいかにスルーできるかが大事ですよね。主人がゲームをしたりタバコを吸ったりすることが私は嫌いですが、受け止めるのではなく受け流しています」

かつての結婚生活との違い

ややあきらめモードの真理子さんだが、かつての結婚生活のように一方的に我慢しているわけではない。則之さんに対して、泣きながら「あなたのことが嫌いになりそう」「苦痛!」と訴えて、モラハラ気味の言葉は封じることに成功。冷静に抗議すると角が立つので涙を流してかわいく振る舞うのがポイントだと解説してくれた。

「私が何かしてあげたときは『サンキューは?』と要求します。主人は『サンキュー』と言ってくれるようになりました(笑)。彼が長年連れ添ったワンコを私が短い介護の末に看取ったときは、号泣している私に『お世話をしてくれてありがとう』と主人から初めて自主的にお礼を言われました。愛犬からの最後の素敵なプレゼントだったかもしれません」

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福岡でも教育関連のアルバイトをするようになって元気を取り戻している真理子さん。自分も則之さんも「それなりにワケがあって」の晩婚だったと認識している。

だからこそ、相手を自分の理想形にはめようとしないこと、不平不満は我慢して爆発する前に小出しに表現すること、などを心がけているという。

「私の作った料理に対して『いつも同じメニューだね』と主人に嫌味を言われることは今でもあります。即座に『うっせえな。だったら自分でやれ!』と言い返すようになりました(笑)。主人は『口が悪いねー』と苦笑い。ケンカにはなりません」

仕事熱心でやや上から目線の男性に頼りたい、という真理子さんの望みは若い頃と変わらない。しかし、そのようなパートナーとの向き合い方は経験によって進化した。家庭に笑いと平和をもたらすことに成功している。

力強さを増している真理子さんにねじ伏せられつつある則之さんも「自分だけ強くなくてもいいのだ」と気づき、ホッとしているのかもしれない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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