
北関東での小学校時代の同級生と25年ぶりに再会し、その10年後に結婚した女性がいる。現在は愛知県に夫婦で住んでいる相沢智恵さん(仮名、52歳)だ。
このインタビュー取材は愛知県内のレストランにて夫婦で応じてくれている。白髪をあえて染めないロングヘアが特徴的な智恵さんはいかにも優しげな和風の顔立ちで、傍らでおとなしくしている夫の健一さん(仮名)は色黒で、澄んだ目はクリクリしている。見た目は対照的な夫婦である。
お寺の養子として、独特な苦労をしてきた智恵さん
10歳までは九州で育った智恵さんは3姉妹の中間子。「お母さんが5人いる」というやや複雑な経歴の持ち主だ。生みの母親は智恵さんが5歳のときに他界し、父親の兄夫婦の家に2年ほど預けられ、父が再婚してからはその相手が育ての母に。そして、10歳のときに北関東にある父の姉夫婦の家で養子となった。
「お寺をやっている伯母夫婦には子どもがいなかったので、私を養子として出す約束をしていたそうです。小学校5年生のときだったので物心はとっくについていたのですが、私は順応性が高かったようですぐに馴染みました。その新しい父母もすでに亡くなり、遺してくれた一軒家の庭は夫の母が草取りをしてくれています。私にとっては5人目の母です」
お母さんがいっぱいいるんです、と明るく笑う智恵さん。しかし、お寺の養子として独特な苦労があったようだ。
「短大までは通わせてもらいましたが、卒業後はお寺の事務を手伝いながら旦那さん候補のお坊さんとのお見合いをしていました。そのために私がここにいるんだよな、とはわかっていましたが、どうにも気が進まず……。3人ほどと会いましたがすべてお断りをしてしまいました」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら