絶賛である。初婚の智恵さんは「そう言ってもらえるのは嬉しいですが……」と首をかしげるが、同じくバツイチの筆者には健一さんの感動と決断がわかる気がする。手痛い失敗をすれば、頭ではなく体が「触っていいものと触ってはいけないもの」を識別してくれるのだ。前の苦しい結婚生活という比較対象があるからこそ、今の結婚相手の長所が際立つ。特に男性の場合は、相手の女性を尊敬できることが豊かな晩婚生活を送るポイントだと思う。
良き結婚は周囲にも幸せを与えられる
結婚後も愛知県内で健一さんがもともと住んでいた1LDKの社宅に住み続けている2人。智恵さんは特技を生かして障がい者向けのボランティア活動も始めようとしている。車好きの健一さんと一緒に、月に1度は関東まで「ロングドライブ」。2人分の荷物の倉庫代わりになっている智恵さんの実家に風を入れている。
「働きながら親の介護をしていたころは毎日が大変で、実家は全体的に汚部屋のようになっていたんです。母も父も亡くなって消極的な一人暮らしになってからも片付けは進みませんでした。健一さんと一緒になってからはずいぶんキレイになったので、『一人じゃないってすごいな』と感じています」
健一さんの定年退職後には地元に戻って長い余生を楽しむつもりだ。40歳にして離婚してしまった健一さんを心配していた母親は、今では智恵さんと実の母娘のように仲良くしている。

「息子としてはすごく嬉しくて、ありがたいことだと思っています」
自分の人生にはお母さんがいっぱいいるという智恵さんには自然な振る舞いなのかもしれないが、良き結婚は当事者夫婦だけでなく周囲にも幸せを与えられるのだ。
その対象は血のつながった家族とは限らない。人生経験を重ねた大人同士が尊重し合って補い合うと、異常に高まったパワーがあふれ出て、様々な人に恩恵を与えたりする。息の合った同級生晩婚カップルとしばらく過ごして、そんなことを考えた。
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