〈改革の一歩〉セブン&アイ、新社長が就任直後にテキサスの現地本部内で自室を構えた理由とは? 過度な"国内重視"の組織風土を変えられるか

「私たちは真のグローバル企業になれていない」――。
8月6日、セブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長は都内の会場で初めて経営計画を公表した。
日米コンビニ事業の成長戦略や財務目標については、すでに決算説明会や投資家向けイベントで開示した内容から大幅なアップデートはなかった。その中で1つ、ポイントを上げるとすれば、冒頭の発言のようにデイカス氏がグループの経営体制やガバナンスの課題について、「反省」を述べたことだろう。
北米経営陣とのコミュニケーション
5月後半に新体制が始まって、およそ100日。静かに改革は始まっている。
デイカス氏は北米子会社への関与を増やすため、社長に就任した数日後の6月初旬には、テキサス州の現地本部内に自室を構えた。ドアはつねに開けるようにしているという。
「1日目、2日目は誰も入ってこなかった。だけど、3日目くらいから『やあ、スティーブ』と数人挨拶にくるようになり、どんどん(多くのメンバーが)入ってくるようになった。日々コミュニケーションの内容もリッチになってきている」(デイカス氏)
アメリカには月に1週間程度滞在しているほか、現地子会社の経営メンバーと、自身を含めた社内取締役メンバーとの定例会議を月に1回は設けるようにしたという。
セブン&アイはすでに、収益上はその大半を海外で稼ぐ「グローバル企業」だ。井阪隆一前社長の体制では、2021年7月に発表した前中期経営計画で「世界トップクラスのリテールグループを目指す」と宣言した。

きっかけはその直前に2兆円超を投じた、アメリカのコンビニチェーン3位のスピードウェイ買収だった。それまで5兆〜6兆円台で推移していた売上高は、スピードウェイが通期で貢献した2022年度には円安も相まって11兆円まで膨張。連結営業利益に占める、海外コンビニ事業の比率も、2020年度の2割台から2022年度には5割超まで急拡大した。
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