セブン&アイが本腰入れる「ネットとリアル店舗の融合」《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
「ネットを制するものはリアルを制す」
国内小売業界最大の巨人、セブン&アイ・ホールディングスの会長、鈴木敏文氏の言葉だ。
セブン&アイHDは、鈴木会長の大号令の下、「ネットと現実(リアル)店舗の融合」という新しい企業体に向けて再構築を始めた。
セブン&アイHDは売上高で5兆円近い日本最大の小売りグループ。4月5日に発表した2012年2月期決算で、営業利益は前期比20.0%増の2920億円と過去最高を記録した。業態もスーパー(イトーヨーカドー)、コンビニ(セブン−イレブン)、百貨店(西武、そごう)、飲食店(デニーズ)、金融(セブン銀行)までを網羅する。購買客数は、国内で1日約1500万人と日本の人口の実に1割を超える。世界では約4000万人と圧倒的な数字を誇る。
これだけの巨大事業体が「ネットと現実店舗の融合」と言うのだから迫力がある。ネットとリアルの購買活動が強力に連携し合う、巨大なO2O(オンライン・ツー・オフライン)の世界を構築し始めたといえるだろう。
セブン&アイHDの総合ネット通販企業、株式会社セブンネットショッピングの執行役員であり、メディアビジネス本部本部長を務める原田良治氏に戦略を聞いた。
原田良治氏
「ネットにつながるすべての人の知恵を結集し、ネットとリアルが融合した新しいショッピングを実現するのが、弊社の理念。そのためには3つの戦略が必要。
まずは、リアル店舗の共同販促。たとえば、バレンタイン特集をセブン−イレブン、そごう、西武、ヨーカドー、デニーズで共同の販促を行う。お中元やお歳暮も同様。従来のリアル店舗をベースにした販促だ。
同時に、リアル店舗だけではなく、ネット事業も一本化する必要がある。グループそれぞれに持つ、ネットスーパー(ヨーカドー)、eデパート(西武、そごう)、セブンネットショッピングといったネット通販を1つに集約する。共通化することでグループのパワーを発揮する。
3つ目としては、『リアルの販促の共通化』と『ネット事業の一本化』の2つをつなぎ融合することだ。この、ネットとリアル店舗の融合における武器の1つが『セブンスポット』となる」