セブン&アイが本腰入れる「ネットとリアル店舗の融合」《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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無線LANサービスでネットとリアルを結ぶ

11年12月1日、セブン&アイHDは、無料の無線LANサービス「セブンスポット」を東京23区内のセブンーイレブン、イトーヨーカドー、そごう、西武、デニーズなどの各店舗で開始した。対象店舗で、Wi−Fi環境での高速インターネット通信を無料で利用できる。1回に最大60分間のアクセスが可能で、1日に3回まで利用できる。

「セブンスポットは単なるインフラサービスではない。便利、楽しい、お得の3点を消費者に提供する」と原田氏は話す。

「便利」とは、高速インターネット回線により、さまざまなネットサービスやコンテンツが快適に動くことだ。セブンスポットは、NTTグループと組み、光回線を利用するため、他社のWiMAXなどの無線方式と比べて高速で、災害時にも強い。災害時の回線が集中するときに、つながらなくなるおそれが比較的少ない。他社よりも一段進んだ「便利」を提供できるという。

「楽しい」とは、大資本ならではのコンテンツ力だ。たとえば、クリスマスのキャンペーンでは、国民的アイドルグループAKB48の壁紙をダウンロードできるサービスを実施した。

「AKB48のメンバー12名を対象に25日間実施したので、1メンバーが2回出てくる。来店しないとどのメンバーの壁紙がもらえるかわからないという“出会い”を演出する。数字は非公表だが、実際に相当の集客効果があった」(原田氏)。

クリスマスは、セブン、ヨーカドー、そごう、西武、デニーズなどグループ共同でAKB48のキャンペーンを行った。ホールディングス全体でAKB48と契約している。東方神起といった人気アーティストも同様だ。
 
 グループ全体の資本力があるからこそ、消費者を店舗に集客するための強力なコンテンツラインナップを実現できる。ライバルを突き放す原動力といえよう。

3点目の「お得」は、購買促進や店舗の買い回りの強化につながるサービスだ。12年3月は、イトーヨーカドーで、食品レジでの1回の会計が2500円以上で利用できる割引クーポンを配信した。グループ内の買い回りや回遊を意識したクーポン、展示会などの招待券も提供する。

「たとえば、西武池袋本店で山田洋次の展覧会をやっているとする。お客さんが、セブン−イレブンでセブンスポットを利用して招待券を手に入れると、展覧会に無料で入場できる。グループ間の消費者の相互送客ができる」と原田氏。ネットを使ってコンビニの客を百貨店に送客する。まさにO2Oの応用版だ。

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