「木を使う内装が得意な建築家にお願いしたので、部屋全体が木目で統一されています。天井は板張り、壁紙はコルク。壁面収納の木製扉も造作です。
ベランダにつながるサッシの掃き出し窓は、造作でガラス格子の建具をつけて二重窓にしました。
それから元々持っていたスペイン製のアンティークのカップボードの飾り棚部分にも、造作でガラス格子の扉をつけてもらったんです。これでホコリの心配なく、器を収納できると嬉しかったですね」
リノベーションから40数年。最初は白々としていた天井や壁の木材が、経年変化で落ち着いたベージュ色になってきて、ますます髙森さん好みの部屋に進化してきたという。


「ちょうどいい」距離感と食事
夫婦の生活スタイルを考えて、残りの部屋を夫と髙森さんとでそれぞれ自室として分けたことも正解だった。
髙森さんはベッドの横に机を入れて、自室で仕事をする夜型人間。夫は、定年前は多忙な広告会社勤務の会社員だった。規則正しく寝起きし、出勤する朝型人間。
生活時間が真逆なので、お互いのために部屋は分けたほうが便利なのである。
「ちょうどいい距離感なんです。もっと年を取ったら、どちらかが隣の部屋で亡くなっていた――なんてことになると大変なので、同じ部屋で寝起きしたほうがいいかもねと話していますが、言うだけ(笑)。今のところはまだ大丈夫みたいです」

「ちょうどいい」、これは髙森さんが作る毎日の食事の量や味付けにも言えることだ。
「80歳を超えたら食べられる量が減って、外食だと量が多すぎるのです。残すとお店の人に申し訳ないでしょう。食べたいものを自分たちにちょうどいい量で、と考えたら、自炊するしかないんです。味付けも自分たちの口に合わせられますしね」
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