「働かせてもらえるだけで…」「迷惑なので連絡しないで」同僚の冷たい態度を横目に、なぜ非正規雇用女性(45)は1人で会社と闘ったのか

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例えば、今働いている店舗では商品を買った客に渡すレシートにスタッフのフルネームを印字しなければならなかった。しかし、スタッフには女性もいて、不安を訴える声が多かった。このため労働組合を通して会社と交渉、現在はかろうじて苗字のみの記載となった。

ささいなことかもしれないが、そこにやりがいを感じるという。

少なくとも日本では労働組合の組織率は低下の一途をたどる。このご時世、労働組合が自己表現の場だというユウコさんは、相当なマイノリティなのではなかろうか。

非常勤職員で手取り15万円

ユウコさんは地方都市の私立大学を出て大学院に進んだ。

学生時代はそこまで熱心に就職活動をしたわけではなかったという。先に社会人になった先輩たちから、「長時間労働で体を壊した」「ノルマが大変」といった、いわゆる“ブラック企業”での理不尽な体験談ばかりを聞いていたからだ。

結局、知人の紹介で、専攻の心理学を生かせる、ある独立行政法人の非常勤職員として働き始める。

だが、そこでの雇用期間は3年と告げられた。また、時給は1000円超だったものの、毎月の手取りは約15万円ほどで、仕事がない大型連休や盆暮れといった祝祭日の多い月は、さらに3万円ほど減った。

それでは到底生活していけないので、専門学校の非常勤講師の仕事を掛け持ちした。飲食店での皿洗いなどのアルバイトもこなしたという。ダブルどころかトリプルワークである。

案の定、無理がたたって椎間板ヘルニアを発症。別の団体に転職したものの待遇は変わらず、5年ほどで業界に見切りをつけた。

非正規雇用契約が並ぶ履歴書からは、一目で就職氷河期世代ならではの厳しさが伝わる。有給休暇が取れないなど法律が守られない職場も多かったという(写真:編集部撮影)※一部加工しています
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