「働かせてもらえるだけで…」「迷惑なので連絡しないで」同僚の冷たい態度を横目に、なぜ非正規雇用女性(45)は1人で会社と闘ったのか

個人では門前払いされることも、労働組合という組織を通せば会社側も一定程度耳を傾ける。労働組合法はそれを可能にする“武器”だ。
ただ私は、これまで独りで闘ってきたユウコさんの“物語”を美談だとは思わない。なぜ独りだけ矢面に立たせるのか。恩恵を受けながら、だんまりを決め込んだり、批判したりする人はズルいと、思う。
それを言っちゃあおしまいでしょうか。私の問いかけに答える彼女の口調は、相も変わらずおおらかだ。

「私だって初めて声を上げたのは、最賃を払えないと言われたときです。立ち上がるタイミングは人それぞれでいい。立ち上がることができなくてもいいと、私は思っています」
ユウコさんは現在契約社員で、手取りは24万円ほど。退職金はない。将来の年金水準を考えると、「一生働き続けるしかない」。
もう1つ伝えたいことがある
取材が長時間におよんだことをわびつつノートを閉じようとしたとき、「もう1つ伝えたいことがあります」とユウコさんが言った。私は再びその言葉に耳を傾けた。
「私は今の会社が掲げる理念に共感しています。環境に配慮した素材を使い、生産農家の人権を守るという理念です。そして私たち社員の労働環境をよくすることこそが、こうした理想の実現につなるがると信じています」
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