「働かせてもらえるだけで…」「迷惑なので連絡しないで」同僚の冷たい態度を横目に、なぜ非正規雇用女性(45)は1人で会社と闘ったのか

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合併後に行った相談会の資料を見せながら説明するユウコさん。職場アンケートでは、回答した社員全員が「働きづらくなった」とし、「給料が減った」「労働時間が長くなった」といった不満の声を寄せた(写真:編集部撮影)※一部加工しています

個人では門前払いされることも、労働組合という組織を通せば会社側も一定程度耳を傾ける。労働組合法はそれを可能にする“武器”だ。

ただ私は、これまで独りで闘ってきたユウコさんの“物語”を美談だとは思わない。なぜ独りだけ矢面に立たせるのか。恩恵を受けながら、だんまりを決め込んだり、批判したりする人はズルいと、思う。

それを言っちゃあおしまいでしょうか。私の問いかけに答える彼女の口調は、相も変わらずおおらかだ。

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「私だって初めて声を上げたのは、最賃を払えないと言われたときです。立ち上がるタイミングは人それぞれでいい。立ち上がることができなくてもいいと、私は思っています」

ユウコさんは現在契約社員で、手取りは24万円ほど。退職金はない。将来の年金水準を考えると、「一生働き続けるしかない」。

もう1つ伝えたいことがある

取材が長時間におよんだことをわびつつノートを閉じようとしたとき、「もう1つ伝えたいことがあります」とユウコさんが言った。私は再びその言葉に耳を傾けた。

「私は今の会社が掲げる理念に共感しています。環境に配慮した素材を使い、生産農家の人権を守るという理念です。そして私たち社員の労働環境をよくすることこそが、こうした理想の実現につなるがると信じています」

本連載「大人の貧困 『雇用の谷間』でもがくミドルエイジ」では、生活苦に陥った就職氷河期世代(40代~50代半ば)の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別にご連絡させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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