「働かせてもらえるだけで…」「迷惑なので連絡しないで」同僚の冷たい態度を横目に、なぜ非正規雇用女性(45)は1人で会社と闘ったのか

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このころ、家庭の事情で親と同居を開始。心機一転、今度は生活雑貨の製造販売を手掛ける会社で、アルバイトとして働き始める。30代半ばのことだ。

ところが、ここも突っ込みどころしかない職場であることが、早々に露呈する。

入社1カ月で店長になるよう命じられたうえ、店長になったら正社員にするという約束は反故にされた。極めつきは有給を取ろうとしたとき、上司から「有給は病気になったときに取るもの。休みたいときに取るものではない。従えないなら評価を下げます」と言われたことだ。

うそ八百である。ユウコさんは1人でも加入できる労働組合に相談。アドバイスを受けながら会社と話し合った結果、すべての社員が自由に有給取得できるようになったという。

「労働組合に頼ったのは初めて。何かあったときに備えて組合はあったほうがいいと思っていたので、有給の問題が解決したあとに加入しました」

一方で、部下を持ちながら店舗運営を担う店長業務は重荷だった。「ずっと細切れの非正規で働いてきた私は、人に育てられた経験もなければ、人を育てた経験もない」とユウコさんは言う。

自分なりに試行錯誤したものの、踏ん張ろうと思えるだけの魅力をその会社に見いだすことができなかった。数年間勤めたあと、同じく生活雑貨を製造販売する別の会社に転職することにした。

会社に団体交渉を申し入れると

転職先は、原料にオーガニック素材を使っていることを売りにした会社だったが、果たしてここでも法律が守られることはなかった。別会社に合併されたとき、複数の労働条件が引き下げられそうになったのだ。

例えば、公休の一部カットや残業代計算の5分単位から15分単位への変更、「季節休暇」の全廃、労働時間延長など。社員は個別に新たな労働契約書にサインするよう求められた。

しかし、公休の一部カットと残業代の15分未満切り捨ては法律に違反する。また、厚生労働省からは、合併などの際は働き手の労働条件維持に留意するよう求める旨の指針も出されている。

ユウコさんは会社側に労働組合に加入していることを伝えたうえで、団体交渉を申し入れた。

結局、労働基準監督署による勧告もあり、会社側は法令違反の部分に限って方針を撤回。残業代については本来1分単位で計算すべきなので、過去の分までさかのぼって、すべての社員に未払い分が支給されるという“成果”も得た。

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