どのような職場にも20人に1人の割合でいる「サイコパス」。共感する能力が欠けている彼らが使う危険な人心掌握術とは

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しかも多くの場合、サイコパスはなかなか察知できるものではない。

最初のうち、彼らはうまく取り入ってくるため、「この人はヤバそうだ」と感じることが難しいからだ。ところが時間が経つにつれ、当のサイコパスは徐々に本性を表し、当事者であるこちらの人生を破壊しようとする。

その手立てはこうだ。

まずはあなたの行動を細かく管理し、仕事に干渉する。次にあなたの成功を自分の手柄にして、自分の失敗はあなたのせいにする。秘密主義を貫き、職場の誰にも事態の全容を知られないようにする。職場の内外で派閥をつくって特定の個人をいじめたり恥をかかせたりするが、グループ全体にはその工作を見せないよう画策する。(「はじめに」より)

その結果、いじめの対象となった人は自信を失い、同僚のことも信用できなくなるだろう。それでもサイコパスが悪いとは思わず、むしろ自分に非があると思い込み、なんとかしてサイコパスを満足させたいと努力することになってしまうかもしれない。

絵に描いたような悪循環だが、だとすればできる限りサイコパスの特徴を理解しておく必要がある。

サイコパスの「スーパーパワー」

サイコパスは自分の行動のせいで“自分が”苦しむことになれば後悔するものの、自分の行動が“他人に”どんな影響を及ぼそうがまったく気にしないようだ。なぜなら、他人の感情を思いやるうえで必要な神経回路が形成されていないから。

サイコパスの世界では、大切なのは自分の感情だけ。これはサイコパスの基本的な特徴であり、彼らのすべての行動を理解する際のカギとなる。サイコパスは、あなたにさまざまな感情があることは理解しているが、それを感じることができないのでいっさい考慮しない。彼らにとって他人の感情は、必要に迫られて注意を向けるものにすぎず、仕方なく対応するものなのだ。ゆえに他人の感情をまったく察知できないのは、当人にしてみればスーパーパワーなのだが、私たちにとっては精神疾患なのだ。(138〜139ページより)

ただし、「スーパーパワー」には弱点もある。それは、「他人がつねに真実を語っているとは確信できない」ことだ。

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