どのような職場にも20人に1人の割合でいる「サイコパス」。共感する能力が欠けている彼らが使う危険な人心掌握術とは

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少し長くなってしまったが、この文章はサイコパスのあり方をわかりやすく説いている。また、私たちがサイコパスに対して抱く違和感や疑問に対する明確な答えでもあるのではないだろうか。

サイコパスが私たちのことを褒めるのは、私たちに信用されたいからなのだ。一方、サイコパスは聞き上手でもあり、「自分にとってはこれが重要なのです」という私たちの話に耳を傾け、熱心に聞いているということをこちらに対して行動で示す。

たとえばチェンバレンは「戦争は起こさない」とヒトラーに言ってほしいと思っていた。だからヒトラーは、チェンバレンにそう言った。さらにケーキに粉砂糖をまぶすかのように、少しばかりお世辞を振りかける。大半の人は、これでもうサイコパスを信用してしまう――それまでの相手の行動がどれほどひどいものであろうとも。(144〜145ページより)

サイコパスは他人を信用していないにもかかわらず、人間関係を築くことができるのだ。ただし、ここには重要なポイントがある。たしかに関係は築けるが、それはこちらが望んでいるような人間関係ではないということだ。

アメとムチを巧みに使いわける

サイコパスは私たちを信用できないので、私たちをコントロールする必要があると考える。つまり、私たちとの関係を維持する必要がある限り、サイコパスはアメとムチを巧みに使いわけて忠誠を強要しようとする。

著者によるこの主張は、サイコパスを理解するうえで非常に有効なのではないだろうか。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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