「専門学校の同級生が3分の1に激減」「”給料6万円+歩合”の会社も」《アニメ業界》夢見て来日したミャンマー人女性が直面した現実

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そして就職活動が始まったのだが、目標は背景専門のアニメスタジオだ。同級生のほとんどはアニメーター、つまりキャラクターを中心に動きのある絵を描く仕事を志望していて、そちらが業界的には「花形」ではあるのだが、激務でも知られる。

ひとつのキャラクターの表情や動きを少しずつ変えて膨大な枚数を描き、それを連続して撮影することで滑らかな動作を表現する。近年はCGの導入も進むが、それでもきつい現場だ。「アニメはブラック」を代表するような職場でもあるそうな。

「それに比べると背景ってホワイトって聞いたんです」

そのぶん辞める人が少なく、学校に来る求人票もわずかばかり。だから求職サイトを使って就職先を見つけたのだが、それが問題の会社だったというわけだ。背景の世界も決してホワイトばかりではないとピョピョさんは思い知る。

ピョピョさんの描いた背景画。細部に至るまで緻密に書き込まれている(画・ピョピョさん)

「給料6万円の会社」よりはマシだが…

「新人の頃は手取り15万円。3年目でやっと手取り20万円を超えたんですが、社長からは『3倍働いてください。ちゃんと働かなかったら、また下がるよ』って言われました」

だがアニメーターに比べればずいぶんマシなのだとか。

「給料6万円の会社もあるって聞いたことがあります。プラス、1枚書いたら300円とか」

そんな薄給だろうと、アニメの世界で働きたいという人はおおぜいいる。専門学校などでふるいにかけられてもなお、日本人も外国人も志望者の多い業界だ。安い給料が嫌で辞められても、代わりはいくらでもいる。そこが待遇の悪さにつながっているのでは、とピョピョさんは言う。

それでも、少しずつ大きな仕事を任されるようにもなってきた。

「ほかの人が描いたものもチェックして手直しして、アニメ制作会社の方や監督さんともやりとりして、全体を見る仕事でしたね」

いい経験も積めたのだが、ブラックさに耐えられたのは3年ほど。次々に入ってきては辞めていくほかの社員と同じように、ピョピョさんも退職した。

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