
「アニメ業界って、すっごくブラックなんですよ!」
ピョピョ・ヤダナさんは実感を込めて言う。日本でおそらくただひとり、アニメ業界で働くミャンマー人だ。
親しみやすいサバサバ系女子といった印象の彼女は、ネイティブとほとんど変わらない流暢な日本語であれこれとぶっちゃけてくれたわけだが、最初に入った会社がとにかくしんどかったのだと苦笑いをしながら話す。
勤務は週6日。深夜まで仕事は続く
「夜の11時50分くらいに帰ろうとしたら、ほかのスタッフさんから『お前もう帰んの!? 甘いよ、ほかのスタジオはみんな徹夜してるよ』って言われたこともありますね」
深夜までの勤務が週6日。たった4人の社員で5本のアニメの背景を描き続けた。
「アニメ1話に背景はだいたい300枚あるんです」
それが5本も重なっている。そしてアニメはだいたい週1回の放映だから、毎週1500枚ほどの背景画を生産している会社だった。ピョピョさんも毎日30枚ほど描きまくっていたという。
それがどれだけたいへんなのか業界シロウトにはわからないが、「ほかの会社は1日3枚くらいですよ」と言うから、ピョピョさんの会社はなかなか過酷だったようだ。
「それに毎日、社長に怒られていました」
ピョピョさんの描いた背景を社長がチェックするのだが、よく「なんでこういう描き方をするのか」「ちゃんと考えて描けよ」と2時間ほどもネチネチ説教を食らい、描き直して見せたらまた怒られ……パワハラ気質の会社でもあった。また「外国人だから厳しく当たられる」と感じることもあったそうだ。
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