
「わかりやすいほう」に流れてしまう背景(写真:8x10/PIXTA)
ビジネスパーソンに必須だとされる「教養書」ブーム。しかし、そもそも教養とは何かを理解しないまま、関連書籍を読みあさっている人も少なくないのではないか。SNSで毎日のように見られる「勧善懲悪で誰かを袋叩きにする文化」も、教養の欠如が背景にある。
韓国でシリーズ300万部のミリオンセラーとなり、一大教養ブームを巻き起こした『全人類の教養大全』では、教養を「幅広くて浅い知識」と定義し、単なる知識の羅列ではなく、この世界の成り立ちやどうやって世界が回っているかという「根本的なしくみ」だという。
新聞記者時代から社会・経済の変化を長年追っているジャーナリストの佐々木俊尚氏に、本書の読みどころと併せて「そもそも必要な教養とは何か」について聞いた。
そもそも「教養」って何ですか?
『全人類の教養大全』は、「教養とは何か」をきちんと定義し、どうやってこの世界を理解するのかという「知識の地図」を示しているところが非常にいいですね。
2000年代の「自己啓発ブーム」が終わり、2010年代からは「教養ブーム」が始まりましたが、「教養」をうたう本を見ても、単なる雑学ばかりです。
プラトンやニーチェはこう言っていると箇条書きで並んでいますが、せいぜい部下に「知ってるか?」と自慢するために使うぐらいで、なんの役にも立ちません。
本書は、自分が暮らしている世界をどう理解するかという、世界観のようなものが教養であり、それは、それぞれ違った専門知識を持つわれわれ個々人が会話を通して、お互いの認識を共有するための土台だと書かれています。まさにそのとおりだと思います。
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