NHK朝ドラ《あんぱん》に対する【中国ネットの反応】は?「軍国主義を美化してる」という声の一方で…。私が思う“朝ドラ海外発信”の必要性
ドラマをめぐる認識の相違からは、改めて、歴史や戦争をめぐる日中間の相互理解がいかに困難であるかを痛感させられる。だが、それでもなお、この作品に描かれた戦争には、私にとって新鮮な視点があった。
歴史や戦争体験を通じて投げかけられる「国際的な問い」は、決して無意味ではない。むしろ、困難の続く現代だからこそ、深く考えるべきなのだと思う。
世界では今も、あちこちで戦争が続いている。「この戦争さえなかったら、愛する国のために死ぬより……わしは、愛する人のために生きたい」。主人公・嵩の弟、千尋のこの台詞は、胸を打つ。
できることなら、今この瞬間にも核のボタンを握っている世界の権力者たちにも彼の言葉を聞かせたい。生きることの尊さを、もう一度考え直してもらいたい。
『虎に翼』や『らんまん』、『マッサン』も
ここ数年、歴史上実在した人物を基に脚本化された朝のドラマが人気を博している。
『あんぱん』を観て、私はやなせたかし氏の著書『アンパンマンの遺書』を読み始めた。ドラマと史実を照らし合わせながら、人物の個性や人生観を深く理解する過程は、すこぶる楽しい。
ほかには、2024年、日本初の女性弁護士・裁判官である三淵嘉子をモデルにした『虎に翼』は、ジェンダー平等や法の支配といった現代社会の普遍的なテーマを扱っている。女性が社会で活躍することの困難や意義は、世界中の女性や、社会変革に関心のある人々にとって深く響くメッセージとなっただろう。
主人公の寅子と愛する人が事実婚を選択した。それは戦後間もない時代にはどれほど先駆的な行為だったことか。現代の私たちに、家族と婚姻制度に関する示唆を与えるこのようなドラマは、視聴者に「歴史」と「フィクション」の間を行き来するきっかけを与える。
さらに、2023年の朝ドラ『らんまん』を観た人が、主人公のモデルである植物学者・牧野富太郎博士の功績に興味を持ち、自ら調べてみるという現象が多く報告されている。
昨年、私は練馬区の牧野記念庭園を訪れた。牧野博士が94歳で亡くなるまでの30年間を過ごした住まいと庭の跡地の記念館には、博士の植物画が数多く展示され、書斎も丁寧に再現されている。
茂る草木の中に立つと、博士の日々がふと浮かぶ。好きなことに一生をかけて情熱を注ぐ――それは、何よりも幸せな生き方だろう。
朝ドラにはしばしば海外留学・国際交流・在日外国人といった描写が含まれる。例えば、2014年から2015年に放送された『マッサン』はニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルに、スコットランド人女性がヒロインとして活躍し、国際結婚や異文化理解をテーマにした感動作だ。
2021年から2022年に放送された『カムカムエヴリバディ』では英語講座を通じてアメリカ文化が堂々と登場した。視聴者は日本と世界の関わりを、自然な形でドラマを通して体感できる。
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