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世界で進む公共財として大学を考える4つの視点。大学が直面する危機の構造と改革の方向性⑩

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大学は単なる教育機関ではなく社会全体に知識や人材を循環させる「知のインフラ」(写真:まゆき/PIXTA)
大学が直面する危機の構造と改革の方向性について多面的に取り上げる本連載。これまで9回にわたって日本の大学が直面している構造的危機を掘り下げ、必要とされる改革について述べてきた。
最終回となる今回は、そもそも大学は誰のために、何のために存在するのかといった視点で大学の社会的意義を再定義し、あるべき未来像を提示して締めくくりたい。時代の転換点を迎えている世界各国の大学の動向を例にとり、「公共財としての大学」のあり方を提言する。

公共財としての大学を構成する4つの視点

世界の大学は今、大きな転換点を迎えている。少子化やグローバル競争、気候変動や格差拡大といった社会課題の複雑化が進み、AI(人工知能)やデジタル技術の進展が学びのあり方そのものを変えようとしている。こうした変化の中で、大学が「公共財」としていかに機能するのかが、改めて問われている。

大学は単なる教育機関ではない。社会全体に知識や人材を循環させる「知のインフラ」であり、未来をつくる公共の装置である。少子化による若年層の減少、気候変動、人口構造の変化といった不可逆的なメガトレンドを前に、大学は「教育を提供する場」から、「社会の変化を生み出す存在」へと、その役割を再定義する必要がある。

公共財としての大学を考えるうえで、カギとなるのは アクセス・課題解決・制度組み込み・人材育成の4つの視点である。それぞれを見ていこう。

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