「不登校の娘の昼夜逆転を救おうとして、自分が壊れた…」精神科に1カ月入院して回復した母の気づきとは?
娘さんの成長と並行するように、尚子さんは自分の成長にも目を向けていきます。
「実は子どもの頃からやっていた書道の経験を活かして硬筆書写の教室を始めたんです」
以前から書道は自分に集中できる大切な時間だったとか。そんな尚子さんがある先生からのれん分けされる形で教室を開き、今年で3年目。今や生徒数は50名を超えています。
「不思議なもので類は友を呼ぶというか、うちの教室には不登校の子たちが結構来るんですよ。学校に行けない子どもたちも『ここには来られる』と言ってくれます。学校の先生も習いに来ていて、疲れている子どもたちの話を聞いてくれます。先生と生徒が一緒に学ぶ光景は、当時の私には想像できませんでした」
尚子さんは晴れ晴れとした表情をしています。また、今年は仕事とは別に始めた活動の行事で海外に行く予定もあるとか。
「振り返ってみると私の子育ては、自分が親にされたことを子どもたちにしないようにと必死でした。でも、それ自体が両親の影響を引きずっているということですよね。これからは私自身をもっと解放していきたいし、子どもたちには健康で楽しく生きてほしいです」
子どもの不登校はまじめなお母さんの転換点
尚子さんは優しくて母性あふれる素敵な女性です。出会った当初、「尚子さんはどうされたいのですか?」と聞くと、「私、どうしたいのでしょうね。自分の気持ちがわからない」と戸惑っていました。人を気遣い、親や周りからどう思われるのかを気にして生きてこられた様子が強く印象に残っています。

不登校の相談を受けていると、ご両親から刷り込まれたのか、「〇〇しなくては」と真面目に生きてきた方によく出会います。その方たちは、子どもを産むと「母親はこうあるべき」と一生懸命になります。
でも、子どもは子ども自身の人生を歩み、親の思う通りにはいきません。そこで親は悩み始めます。自分の気持ちを後回しに生きてきた人ほど生きづらい思いに縛られます。
尚子さんは一時、「希望がなく、未来がない」と絶望されていましたが、いくつもの困難を乗り越えて行動を起こされました。
「みんなが集まれる場所、元気になれる場所にしたい」と硬筆教室でたくさんの生徒さんを教えています。そして今では海外に行くほどイキイキとやりがいを感じていらっしゃいます。困難の末に自分の教室を持つと決めた尚子さんは、不登校を通じて魂のミッションを見つけられたのだと思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら