「自分の欠点や失敗を隠すのをやめれば、孤独の苦しみは軽くなる」 日々の不安や重苦しさを手放す「不完全主義」という生き方

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

インポスター症候群の人は、周囲の人がみんな一定の知識を持っているのに、自分だけはどこか足りないような不安を抱いている。自分に自信が持てず、能力があるふりをして周囲をだましているような後ろめたさを覚える。

人とのつきあい方に自信が持てず、恋愛や結婚、子育ての複雑さに日々挫折感を味わっている人も多い。たとえ表面的にはうまくいっていても、何か自分だけ要領がわからず、的外れなことをしているような気分になる。

あるいは国内外でさまざまな危機が起こっているのに、自分には何もできない、どうすればいいかわからないという形で不安を感じている人もいる。

こうした数々の不安に通底しているのは、「生き方の正解がどこかにある」という暗黙の前提だ。

21世紀を生きる人間として、もっとうまく状況に対処できるはずなのに、そのやり方がわからない。ちゃんとした大人になれない。この中途半端な状況が解決するまでは、安心して人生を楽しめない気がする。

すべてをコントロールできれば人生は幸せなのか?

しかし、日々の経験や長年の哲学的考察が示しているのは、現実を思いどおりにコントロールする能力が人生の充実感や達成感に結びついているわけではないということだ。

すべてを予測可能で確実なものにした先に、ようやく安らぎが待っているのではない。

サッカーの試合がおもしろいのは、どちらが勝つかわからないからだ。学問の探究が魅力的なのは、未知の物事が山ほどあるからだ。偉大な成果は多くの場合、予想外のチャンスをつかみ、思いがけず勢いに乗ったときに生みだされる。すべてが完璧にコントロールされていたら、人との出会いにときめいたり、風景や芸術に思わず心動かされることもないだろう。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事