観測技術の向上で宇宙論も精密科学入り--『ざっくりわかる宇宙論』を書いた竹内 薫氏(サイエンス作家)に聞く

──なぜ数学が自然現象を記述できるのですか。

その解明は永遠の課題だ。偶然と言う人もいるし、一方、宇宙が数式の言葉で書いてあると考える人もいる。後者はキリスト教的な考え方だ。神が宇宙を作ったという発想が欧米にはある。人間がどう生きるべきかについては聖書に書いてある。自然がどうなっているかについては、自然に書かれている。つまり宇宙そのものに書かれている。その言語は数式だという考えだ。今でも欧米の科学者は半数近くの人たちが何らかの形の神の概念を持って、神の考えを知るために自然現象を研究するという発想がある。そういう意味では、数学は神の言葉なのだろう。

いま一つ、数式も普通の言語と同じという考え方がある。言葉で小説を書いたり表現したりするのと同様に、数学でも表現している。だから、そこにはフィクションもあればノンフィクションもある。つまり、数学の世界にもフィクションの部分もノンフィクションの部分もあるという考えだ。宇宙については、この宇宙と違う宇宙が実現されていて、そこでは別の数式で宇宙が記述されているとも考えられる。

──どうノンフィクションだと確かめるのですか。

数学は単なる道具にすぎないと考える人は、実在論に対して実証論というまったく別の考え方になる。アインシュタインは典型的な実在論。実証論の人は近年ならスティーブン・ホーキングだ。単に数式に数値を入れて、予測をはじく。それと観測結果が同じならばいいと。実在論はそうではない。数式に込められている具体的な実在を考える。数学という言語で宇宙について語ろうとする。

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