スッキリして気持ちのよい汗・ベタベタして不快な汗は何が違う?医師が解説する「この夏を乗り越える“よい汗”のかき方」
40代後半〜50代の女性に多く見られる更年期障害では、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、自律神経が不安定になります。その結果、のぼせやほてりが起こり、大量の汗をかくホットフラッシュという症状が表れます。
この場合の治療としてはホルモン補充療法(HRT)が有効ですが、乳がんの既往や血栓症リスクがある場合は、注意が必要です。漢方薬も補助的に用いられていて、加味逍遙散(かみしょうようさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが処方されます。このほか、生活習慣の改善やストレスケアも大切です。
適度な発汗でにおいをコントロール
加齢にともなうニオイは、主に40代以降に目立ってくる体臭です。
汗と皮脂の成分が酸化・分解されることで「ノネナール」と呼ばれる物質が作られ、これが特有のにおいを発します。背中や胸、耳のうしろなどは皮脂腺が発達している部分で、加齢臭が強く感じやすい場所です。
適度な運動はにおい対策として有効で、特に有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)で加齢臭が予防・軽減できます。
その理由は、まず運動により新陳代謝が活発になることで、皮脂や老廃物の排出が促進され、皮脂の酸化産物が蓄積しにくくなるから。また、運動によってかく汗は、主にエクリン腺から分泌されるもので、皮脂や汚れを洗い流す自浄作用も果たします。
さらに、定期的な運動は抗酸化物質(SODやグルタチオンペルオキシダーゼなど)の活性を高め、全身の酸化ストレスを軽減する働きもあります。結果的ににおいの原因物質が生成されるのを抑制します。
ただし、運動をする際には注意も必要です。
汗をかいたまま放置すると、細菌が繁殖して逆に体臭が強くなります。運動後は速やかにシャワーを浴びて、皮膚を清潔に保ちましょう。また発汗によって脱水やミネラル不足を招くことがあるため、水分・塩分補給にも気を配りましょう。
これからの時期は、熱中症にも気を付けましょう。足がつるなど気になる症状が出たら運動を中止し、涼しいところで体を冷やし、経口補水液を飲むなどの対策が必要です。
汗対策としては、運動のほかには、喫煙、飲酒、脂質の多い食生活などにおいのもとになりやすい生活習慣を変えることも大事です。
汗は体温調節や健康維持に不可欠な生理現象である一方、不快感や社会生活への影響も伴います。正しい知識を持ち、体質や症状に応じた対策を取ることで、暑い季節を乗り越えましょう。
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