スッキリして気持ちのよい汗・ベタベタして不快な汗は何が違う?医師が解説する「この夏を乗り越える“よい汗”のかき方」

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また、リラックス状態にあることや、発汗後にすぐに洗い流せることも、不快感を覚えにくい理由です。

一方、夏に屋内外でかく汗は、ホコリなどの汚れと混じりやすいという特徴があります。また、暑熱順化(しょねつじゅんか:後述)が不十分だと、汗腺の機能が低下しているため汗の出方が悪く、ミネラルを多く含むベタつく汗になります。蒸発しにくく、いつまでも皮膚に残るため、不快感を覚えやすいです。

さらに、ベタベタ感だけでなく、皮膚の常在菌との反応によって、臭い(汗臭さ)やかゆみも引き起こしやすいので、よりいっそう不快に感じてしまうのです。

このところ真夏を彷彿させる暑い日が続きますが、日常生活でサラサラした「よい汗」をかくには、今からでも暑熱順化を促す運動習慣を持ち、水分補給とミネラル補充を意識することが大切です。

■発汗のメカニズム

私たちの体におよそ200万〜400万個の存在するといわれる汗腺。大きく分けて「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。

エクリン腺は全身に広く分布し、特に額や手のひら、足の裏に多く存在しています。ここから出る汗は水分と塩分が主成分で、体温調節を担う重要な役割を果たしています。

一方、アポクリン腺は脇の下や乳輪、外陰部、肛門周囲など、限られた部位に存在し、思春期以降に活発になります。アポクリン腺の汗はタンパク質や脂質を含み、皮膚の常在菌により分解されることで、特有の体臭が発生します。これが体臭やワキガの原因となります。

体を冷やすために必要な汗

発汗は気化熱の作用で体温を下げる生理反応です。汗が皮膚から蒸発する際に、体表面の熱を奪って冷却します。この仕組みにより、運動中や高温下でも体温が一定に保たれます。

近年注目されている「暑熱順化」とは、継続的に暑さにさらされることで、体が効率的に熱を放散できるようになる適応反応です。暑熱順化が進むと、発汗量が増え、汗のナトリウム濃度が低くなり、脱水や熱中症のリスクが軽減されます。

この順化を促すには、日常的に軽く汗をかく習慣をつけることが大切です。ウォーキングやジョギング、サウナ浴、半身浴などが有効です。

■ワキガと腋臭症

汗自体は無臭で、皮膚に常在する細菌が汗中の脂質やタンパク質を分解することで、独特な臭い(体臭)が発生します。特にアポクリン腺からの汗が分解されると、いわゆる「ワキガ臭」と呼ばれる強い臭いになります。こうしたワキガのうち病的なものを、「腋臭症(えきしゅうしょう)」といいます。

対策としては、毎日の入浴で清潔を維持すること、抗菌作用のあるせっけんを使用すること、市販の制汗剤やデオドラント剤を活用すること、脇毛の処理によって細菌繁殖を抑制すること、などが挙げられます。

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