アニメと結末が違う?実写映画《秒速5センチメートル》ストーリー構成"改編"の吉凶。ロマンチックだけど「リアルで残酷な物語」を徹底レビュー

SixTONESの松村北斗が主演を務める劇場用実写映画『秒速5センチメートル』が10月10日に公開された。
本作は、『君の名は。』で知られる国民的ヒットメーカー・新海誠監督のクリエイティブの原点となり、初期の名作としてコアファンに支持される劇場アニメーション『秒速5センチメートル』(2007年)を原作にしている。
実写化に際して、ストーリー構成は“改編”されている。もちろん原作が描く物語性は変わらず、登場人物の細かな仕草や、心に残る美しいシーンの数々は再現されており、原作への敬意と愛を感じる作品になっている。
ただ、そこには、コアからマス向けの大作化(=大衆化)において避けては通れない、わかりやすさへの改編がある。原作アニメでは観客それぞれの解釈に委ねることで描かれなかった“答え”のひとつが、実写版ではオリジナルで明確に示された。
ロマンチックだけどリアルで残酷な物語

物語のはじまりは1991年の春。東京の小学校で出会った貴樹と明里は、親の転勤でお互いに転校が多く、孤独になりがちだった。そんななか、貴樹がそっと手を差し伸べるようにして明里に接し、少しずつ心を通わせていった。しかし、小学校卒業と同時に、明里は栃木に引っ越してしまう。
離れてからも文通を重ねていた2人だが、こんどは貴樹が鹿児島の種子島へ引っ越すことになり、貴樹が東京を離れる前に会う約束を交わす。
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