アニメと結末が違う?実写映画《秒速5センチメートル》ストーリー構成"改編"の吉凶。ロマンチックだけど「リアルで残酷な物語」を徹底レビュー

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「秒速5センチメートル」
上田悠斗が演じた幼少期の貴樹(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会

そして、中学1年生の冬。吹雪の夜、栃木・岩舟で再会した2人は、雪の中に立つ一本の桜の木の下で、16年後の2009年3月26日にこの場で再会する約束を交わす。

その後、貴樹は鹿児島で高校時代を過ごし、東京の大学に進学。卒業後は東京でプログラマーとしての社会人生活をスタートするが、人と深く関わらず、内面を閉じた日々を送っていた。そんななか、30歳を前にして、自分の一部が遠い過去に取り残されたままだと気づきはじめる。

彼の心にふと浮かぶのは、色褪せない風景と約束の日の予感。16年という別々の時間を歩んだ2人が、それぞれの知らないうちに、仕事を通して偶然、距離を縮める。交わらなかった運命の先にある、ひとつの未来の訪れを予感させる。

そんな大切な人との巡り合わせを、2人のそれぞれの人生から描いた、淡く、静かな物語だ。それは、ロマンチックだけどリアルでもあり、どうにもならない人生の残酷な一面も映し出す。

「秒速5センチメートル」
白山乃愛が演じた幼少期の明里(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会

原作アニメと実写版の共通点と相違点

原作アニメでは、63分の尺のなかで、3話に分けて貴樹の人生が描かれる。1話は、小学生から中学生時代までの明里との出会いと別れ。その後の貴樹の心を捉えて離さない、2人の心のつながりが映し出される。

2話は種子島で過ごす貴樹の高校時代。クラスメイトの女子から慕われ、一緒に過ごす高校生らしい時間もあるが、彼はどこか遠くを見ていて、心はそこにない。

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