Netflix《今際の国のアリス》世界1位浮上は"快挙"か"試練"か。日本発では"圧倒的なブランド力"を誇りながら、「初週で1位」獲れない背景を解説

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山﨑賢人演じるアリス
山﨑賢人演じるアリス。“今際の国”で再び“げぇむ”に挑む(画像:Netflix)
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Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

世界87カ国でTOP10入りも評価は辛口

配信開始直後にNetflixグローバルランキングで2位を記録した『今際の国のアリス』シーズン3が、翌週にはついに世界1位に躍り出ました。麻生羽呂の原作漫画を映像化し、山﨑賢人と土屋太鳳が主演を務めるこのシリーズは、デスゲーム的な極限状況で生き残りをかけて挑むサバイバルアクション。

最も成功する日本発オリジナルとして、今回もその強さを示す形となりましたが、初動では「1位」に届かない現実も見えました。これは快挙なのか、それとも試練なのか――。

興味深いのは、順位が2位から1位へと上昇した一方で、再生数そのものは初週の850万ビューから700万ビューへとやや減少している点です。数字の勢いが落ちても視聴者の興味をつなぎ留め、結果的に1位を奪い返したその粘り強さこそ、『今際の国のアリス』というブランドの真価を示しているのかもしれません。

一方、海外レビューサイトのRotten Tomatoesのオーディエンススコアは60%台にとどまり、少々辛口な評価を受けています。シーズン1は80%超、シーズン2は90%超と高い水準を維持してきただけに、期待値を上回れなかったことが反映されているようです。ただし、シーズン2だけで視聴時間が2億時間を突破するほどの人気作ゆえに、これはハイレベルな悩みとも言えます。

視聴者の満足度が前作を下回った背景には、作品そのもののトーンの変化があります。シーズン1、2が描いたのは、閉ざされた“今際の国”という異世界での極限サバイバルです。

緊張感はもちろん、渋谷を主な舞台に映像の迫力も半端なく、見る者を一気に物語へ引き込みました。アクションと心理戦の組み合わせも絶妙で、一人ひとりのキャラクターの葛藤が物語を牽引していたのです。

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