
AIにはできないことを語り合った(宮下氏<左>の写真は本人提供、窪田氏の写真は撮影:梅谷 秀司)
2023年に「電気味覚」の研究でイグ・ノーベル賞を受賞した、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科教授の宮下芳明氏。その研究がもとで開発されたのが、塩味を増強できる食器「エレキソルト」である。これまで減塩食を美味しく感じられなかった人たちにとって、希望の光となっている。
一方、これまで軽視されがちだった近視に対して「危険な疾患である」と警鐘を鳴らしているのが、眼科医の窪田良氏だ。自身が立ち上げた窪田製薬ホールディングスでは、近視の抑制を目指した「クボタグラス」を開発し、対策につなげている。
この企画では、先端メディアと目、それぞれの領域で活躍する2人の研究者が語り合う。第1回は、「答えがない問い」に向き合うことで新しいものを生み出す、「フロンティア思考」について話す。
「先端メディア」を社会にどう浸透させていくか
窪田:宮下先生は現在、明治大学の総合数理学部 先端メディアサイエンス学科の教授をされています。先端メディアサイエンス学科とは、具体的にはどんな学科なのでしょうか?
宮下:簡単に言うと「未来のコンピュータのあるべき姿を研究する」学科です。コンピュータは単に計算機としてだけではなく、コミュニケーションやコラボレーションとか、いろいろな目的で私たちの生活を便利にしていくものですよね。それがどんな形で私たちの未来に浸透してくるかはまだまだわからないところも多いので、仮に「先端メディア」と呼んでいるんです。
たとえば、スマートフォンや人型ロボット、スマートスピーカー、ARグラスもそう。私たちは、それらすべてを含めて先端メディアだという位置付けで研究開発をしています。
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