窪田:まだわからないものまで含めて、何でもありなのが魅力ですね。未来に向かっていろいろな発想をしていけそうです。
宮下:おっしゃる通りです。私の研究室では、その中でも人間とコンピュータの相互作用を研究するヒューマンコンピュータインタラクションや、味覚をデジタル的に記録・再生する技術を使った「味覚メディア」の研究をしています。
窪田:以前は情報科学科に所属されていたとか。
宮下:はい。もともとコンピュータの計算速度を上げたり、軽量化したりといったことを研究対象にしていたのですが、社会の中でどうコンピュータが使われていくのか、については情報科学の学問の範囲ではなかなか考えられなかったんです。
そこで、社会や生活の中で新しいメディアがどのように浸透していけばよいのかを、実際に作って試してみる学科が必要だと思い、自ら先端メディアサイエンス学科を立ち上げました。
単純作業をするプログラマーはいらなくなる
窪田:先生の研究室にはどんな学生さんたちが来ているのですか?
宮下:「何か面白そう!」と感じた学生たちが来ていると思いますね。そういう感覚を持てることはとても大事なんじゃないかなと。というのも、以前の情報科学科では「プログラマー養成講座」のような認識だったんです。
プログラマーは依頼者から日本語で書かれた仕様書をもらい、それに合わせてプログラムを作る。そのためにC言語やJavaといった難しい言語をひたすら習得していました。当時、その状況を見て、教員として危機感を抱いていました。プログラミングなんて、いずれはコンピュータ自身で自動的にできるようになるだろうと。

窪田:たしかにそれこそコンピュータが得意な分野ですよね。
宮下:そうなんです。あれから20年以上経ちますが、今では人が日常使いしている自然言語で入力してプログラムを生成するシステムがとっくに普及しています。そうなると、単に受けた仕事をこなすだけの単純作業をするプログラマーはいらなくなります。
窪田:AIが出てきたことによって、人に求められるものも変わってきていると。