イグ・ノーベル賞博士が明かす「あれ?」「なんで?」と考える大切さ――13歳から「フロンティア思考」はつくれる

✎ 1〜 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 46
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

宮下:そう思いますね。すでにある答えを導き出すようなことは、みんなコンピュータがやってくれます。今、必要なのは、「何を作るか」「なぜ作るのか」を自分で発想できる人材ではないでしょうか。今までにない価値を提案することこそが、人間に求められている。

私たちの研究室で取り組んでいるのは、まさに人ならではの「面白そう」という発想から生まれた研究なのです。

「答えがない問題」を考える習慣

窪田:宮下先生のご著書『13歳から挑むフロンティア思考』には、「答えがない問題」を面白がることの大切さが書かれています。先生ご自身は、研究者になる前からそうした問題を考えるのは得意でしたか?

宮下:日常生活の中で「あれ?」と思ったことを、自然に考える習慣はあったと思います。といっても、世の中をひっくり返すような大発見をしようとしていたわけではなくて。例えば、朝、出かけるときに鏡を見たら、口元に歯磨き粉がついている。そこで「あれ?」と立ち止まって考えてみるわけです。これは顔を洗うのと歯を磨くルーチンの順番を逆にすれば解決できるんじゃないか、とか。

あるいは、2つのものを買い物に行くときにどの順番で行くか。人を説得するためのメールを書くときに、どういう書き方をしたらその人がグッとくるかなとか。どれも「答えがない問題」ですよね。そうしたちょっとしたことを考える癖は、昔からついていたんじゃないかなと。

窪田:私も好奇心が旺盛なので、そういう疑問を持って考えることは好きでしたね。研究者の特徴かもしれません。

くぼた・りょう/慶応義塾大学医学部卒業。慶応大医学部客員教授、アメリカNASA HRP研究代表者、アメリカ・シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経てアメリカ・ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、アメリカFDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている(撮影:梅谷秀司)

宮下:その都度、「答えがない問題」を考えながら工夫してやってみる。それでうまくいかなかったら、また次に生かしていく。そんなことをずっとやっていましたね。私としては当たり前のようにやっていたので、みんなもそうだろうと思っていたら、意外とそうではないみたいで。最近の学生を見ていてもそれは感じます。

窪田:たしかに頭で考えずに、「みんなもやっているから」と動いてしまっている人は多いかもしれないですね。

次ページ目の端をそっと押してわかった「ある発見」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事