大震災・原発事故の危機にどう対応したか、福島の東邦銀行が詳細レポートを公表、現場の生の声も
東邦銀行はこのほど、東日本大震災・原発事故の発生から1年が経過したのに合わせて、被災下における業務対応や実行した危機対策などを詳細にまとめた資料を公表した。公表された資料は『東日本大震災の総括』(A4版51ページ)と『東日本大震災の記憶~現場からの声』(A4版132ページ)の2つの冊子だ。いずれも、業務継続に向けた被災下の動きがリアルに描かれている。
『東日本大震災の総括』はまず、大震災・原発事故に伴う福島県内の被害状況や同銀行の被害状況をまとめて、震災発生直後から5月上旬までに各営業店が営業再開した過程と、同行がその間に実施した主な対応事項を時系列的に示している。そのうえで、初期対応時のポイント、復旧対応時のポイントを明確化し、13項目にわたって、実施した対応の効果と課題などを総括している。
最後に業務継続計画の見直しの方向性として「現行の危機管理対応計画は、6つの危機管理対応マニュアルのもと、52のリスクシナリオが規定されており、ページ数も多く、有効活用するためには改善が必要。東日本大震災対応の課題へも対応し、より実効性の高いものとするため全面的な見直しを実施中である」とし、改定のポイントを図式化している。
一方、『東日本大震災の記憶~現場からの声』では福島県内など116営業店ごとに、震災直後の被害や避難行動などの状況が詳細に記され、さらに今後の課題も各営業店ごとにまとめられている。
たとえば、津波被害とともに現在、原発の避難地域に指定されている小高支店(福島県南相馬市)では、3月11日の震災当日について「津波−15時45分、支店近くまで津波が来ていることに気づく。停電でテレビも見れず、ラジオも聞き取りづらい状態で、余震のたびに店舗外に避難しながら家族の安否や店舗内の片付け等に注力していたため、携帯電話ワンセグも見ず。(中略)津波の危険性に対する意識が希薄であったと反省しています」と記述。