大震災・原発事故の危機にどう対応したか、福島の東邦銀行が詳細レポートを公表、現場の生の声も
さらに原発事故が発生した3月14日については、情報収集と避難行動を報告した一方で本部への要望として「避難所となった施設の情報を伝える手段が失われ、ほとんどの行員が当初知らなかった。有事の際の避難先を事前に決めておき、危機管理ハンドブック等に記載しておく必要がある」と記している。
また、冊子後半では、被災直後に経験した混乱の事実について個々の行員が記録している。たとえば、福島第一原発に近い楢葉支店(福島県双葉郡)の男性行員は「警察のヘリコプターから福島県沖に津波が迫っているとの報道があり、その直後、支店近辺を消防車が高台に避難せよとの巡回が始まったのと同時に、テレビでは福島第一原発の3号機爆発のライブ映像が移し出された。支店内は大混乱となり、支店長は必死の形相で、テレビ会議システムにて頭取に状況報告した」と被災時の生々しい状況を記録している。
東日本大震災に見舞われた現地企業が業務継続計画の実施状況や被災の実情に関して、詳細なまとめを公表したのは今回の東邦銀行が初めて。ましてや、企業が自らの業務継続計画の問題点や被災下の実情に適合させるアプローチまで外部に明らかにしたケースは過去の震災時でもない。その意味で、同資料は極めて貴重な資料と言えるだろう。
銀行業界はもとより、他業界の企業にとっても示唆に富む内容となっており、一読の価値がある。
問い合わせ先:東邦銀行 総合企画部 広報・社会貢献室 電話番号 024-523-3131
(浪川攻 =東洋経済オンライン)
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