太平洋セメントが利益重視姿勢を鮮明に《オール投資・注目の会社》
セメント首位の太平洋セメント。東日本大震災から1年が経過した今も、同社の主力生産拠点である岩手県大船渡工場が津波で甚大な被害を受けたことは記憶に新しい。ただ、苦戦もようだった業績が、ここにきて回復歩調に転じてきた。復興需要への期待感から株価も急上昇。一気に注目株として脚光を浴びている。
太平洋セメントの前2011年3月期を振り返ると、先行きの不安感がぬぐえない状況だった。セメント業界は公共事業削減と、不況による企業の設備投資圧縮の逆風を受け、セメント需要が減退。国内市場は1996年度の8241万トンから、10年度にその半分程度にまで落ち込んだ。
同社も販売量の減少で収益が目減り。震災関連費用92億円も利益を圧迫した。が、その傍らで大リストラを着々と実施。10年3月末に秩父など国内3工場の生産を中止し、500人の希望退職を募る事業構造改革を発表した。
そこから1年をかけて、退職や転籍などにより連結従業員を6%削減。この大ナタが奏功し、11年3月期は売上高7264億円(前期比0・3%減)と減収ながら、営業利益164億円(同4・6倍)と急回復を果たした。