【あんぱん】戦争が終わる――その時たかしは。食べもの分ける異色のヒーロー『アンパンマン』原点にやなせたかし「おなかがすいた」戦争体験

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機関銃
※写真はイメージです(写真:harry /PIXTA)
NHKの連続テレビ小説「あんぱん」が、放送回を重ねるごとに注目を集めているようだ。漫画家のやなせたかしと妻の暢(のぶ)をモデルにした物語である。やなせたかしといえば、子どもたちに人気の「アンパンマン」の作者として知られているが、ブレイクしたのは69歳のとき。30代でマンガ家デビューを果たして以来、長く不遇の時代を経験している。遅咲きだったやなせたかしは、いかにして飛躍したのか。『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
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上海決戦に向けて過酷な大移動

1945(昭和20)年5月、福建省の福州、廈門、浙江省の温州にいた日本の部隊は、すべて上海へと集められることになった。

福州で暗号班として任務を遂行していたやなせは、時に占領軍の目的や方針を知らせて安心させる宣撫官(せんぶかん)を手伝い、現地の人に向けて紙芝居を作ったりしていたが、そんな日々もまたガラリと変わることになった。

「穴を掘ったり、紙芝居で村を回ったりして2年ほど過ごしましたが、肝心のアメリカ兵はいつまで経っても攻めてきません。敵が攻めてこないのでは守備隊の意味はありません。そこで、ぼくたちに新たな移動命令がくだされました。今度は上海決戦です」

自身でのちにそう説明しているとおり、福州から上海まで陸路で大移動を行うことになった、やなせたかし。

1日平均40キロも移動するという過酷な任務となったが、やなせはどこか懐かしいような、不思議な感覚を抱いたのだという。

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