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アップルWWDC25で発表された「Liquid Glass」、iPhone・iPad・Macの画面で起きる物理法則が根本から変わる新UIとは

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  • 林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント
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それでいて操作と操作の間では、ボタンの変形などが、まるで本物の水滴が割れたり、くっついたり、大きくなったりとリアルな物性シミュレーションで再現されている。しかも、指先でちょんと弾くと上下左右にたわんでボヨンと元の形に戻るなど、ユーザーが無意識に指で楽しめる遊びも備えている。

計算し尽くされた水滴

水滴の描き方もすごい。下に表示されている内容を、リアルな光の屈折のシミュレーションを行って表示している。アップルのデザイン部門は、この水滴のような形のガラスの光学特性を計算でシミュレーションする前に、実際にガラスで模型を作って、アイコンやテキストなどの上に置いて、どうしたらより美しく見えるかなどの研究を行ったという。最も単純にこれをやってしまうと、どうしても下の表示が暗かったりすると、水滴上のボタンの線画が見えづらくなることがある。そこでそうした場合にはガラス自体も自然に暗い色に変化してボタンの線画を見えやすくしている。

水滴の下がどのような表示かを常にチェックして、それを屈折してボタンの輪郭を表示させる。さらには必要に応じて明るさも変化させる。さらに場合によっては周囲にある表示色を映り込ませる、と小さな水滴1つひとつの表示には実はかなりの計算処理が行われており、プロセッサへの負荷も大きい。

利用環境によって性能差が大きいWindowsやAndroidではこうした画面表現は提供しにくい。

だが、アップルのOSはいずれも過去5年ほどに同社が発売した製品だけを対象にしているので最低性能もわかっており、今期対象にすべきハードなら、こうした高度な画面上の表現も可能だという判断ができた。

Liquid Glassは、まさにアップルだからこそできた画面表現なのだ。

インターネットでは、このLiquid Glassが、ただ背景にぼかし効果をかけただけの半透明効果と同じだとする批判もあるようだ。しかし、こうした表層的なものの捉え方、ディテールの部分でどのような工夫がされているかに気がつけない鈍感さ、画面上で表現しようとしている世界観を認知したり構想したりする力の弱さといったものが、日本のソフトウェアデザインリテラシーの弱さの表象であり「日本のソフトは使いにくい」としている遠因なのかもしれない。

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