Googleの戦略/プレイス、アドワーズの取り組み《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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O2O(オンライン・ツー・オフライン)に欠かせないのは地図情報だ。「Googleプレイス」で提供したい価値は何なのか、グーグル株式会社シニアマーケティングマネージャー、根来香里氏に話を聞いた。

後半では、インターネット広告「アドワーズ」の小売営業部を統括している吉崎剛史氏(グーグル株式会社第一広告営業本部リテール業界担当統括部長)に営業現場の実際を聞く。

--地域のお店などの場所に関する情報を提供している「Googleプレイス」というサービスはいつ頃、どのようにして始まったのですか。

根来 2009年9月ごろにGoogleマップ(地図)の延長で始めた。Googleマップの目的は、お店などの場所の情報を正確に利用者に提供すること。各お店などの情報を1ページの「プレイスページ」にまとめて提供すれば便利だと考えた。

現在、世界中でプレイスページは5億ページくらい。世界規模で展開している。

サービスは一切課金していないし、将来的にも課金はしない。

ページのお店のオーナーであれば、保有、管理ができる。ページはすでに存在しているのだが、情報を正確に提供したいので、オーナーの人にもっと利用してほしい。お店の人が提供する情報がいちばん確かで価値もある。

--手数料や広告宣伝費などで課金するO2Oサービスとは違うように見えます。

 プレイスに関しては、課金は一切考えていない。

インターネットのサービスは、利用者に使ってもらわないと意味がない。おカネを払ってくれる人だけにサービスしていると、みんなが使うサービスの価値を作れない。

Googleとしてもお金儲けに興味がないわけではない。まず、プレイスページでインターネットに使うことに慣れてもらって、もっと要求が出てきたら有料のインターネット広告「アドワーズ」を薦めている。プレイスページの利用は、インターネットの入口にしてもらいたい。

--最近、プレイスページのような、位置情報を利用したネットとリアルのビジネスの連携が「O2O」と呼ばれて話題となっています。Googleのミッションの中でO2Oは、どのように位置づけられるでしょうか。

Googleとしても、O2Oの流れは意識している。

Googleのミッションは「インターネットの情報を誰もがわかりやすく使えるようにする」こと。それはインターネットを日常の生活の中、たとえば普段お店に行くときなどに、気軽に使ってもらえるようにすることが大切。オンライン上で探していたものが、リアルのお店で手に入れば、これもまた便利だ。O2OはGoogleのミッションにも十分沿う。

--大手ネット企業やスタートアップ企業などの「O2O」ブームをどう思いますか。

ネットのサービスは利用者に使ってもらってこそのもの。自分の位置情報を提供して便利なサービスを受けるということが、昔より抵抗がなくなってきている。もちろんプライバシーの問題はあるが。

「すべての人が便利になる」ことが、われわれの取り組んでいるインターネットの革新。O2Oを含めて楽しく便利な形で場所に関する情報が提供できるのは非常によいことだ。

--クーポンなどのお得情報のサービスの提供は考えていますか。

現時点では考えていない。

われわれは、世界規模で共通のサービスを提供している。たとえばアメリカから来た旅行者が、日本でもモバイル片手に地域ならではのお店を1人で探せることに主軸を置いていて、機能もシンプルにしている。

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