先進的デザイナーのツールが激変している 「クリエイティブ=Mac」は過去のもの
モバイルがクリエイティブのワークフローで役割を発揮し始める。そんな強い変化が印象的だった今回のAdobe Maxでは、そのモバイルデバイスのメーカーが、アドビを頼りにしている様子もうかがうことができた。
マイクロソフトはAdobe Maxの大口スポンサーだ。そのプロモーションの対象は、最新OSであるWindows 10ではなく、タブレット型パソコンSurfaceシリーズだ。マイクロソフトは、Adobe Max期間中の10月6日に、最新のSurface Pro 4と、全く新しい2 in 1スタイルのノートパソコン、Surface Bookを発表した。発表会直後にブースを改装し、即日展示を開始するほどの力の入れ用だ。
Surface Bookは、最新のSkylake世代のCore i7/i5プロセッサを内蔵した、キーボード部分を取り外してタブレットとしても利用できるタッチ対応のノートパソコンだ。上位モデルでは、キーボード部分にNVIDIA社の外部グラフィックスプロセッサを内蔵し、画像やビデオなどの編集作業でより高いパフォーマンスを実現できる。マイクロソフトは、アップルのフラッグシップモバイル、MacBook Pro 15インチモデルの2倍高速であると豪語する。
また最新のSurface Penも、これまでの2倍となる1024段階の筆圧感知が行えるようになり、繊細なタッチでの作業を実現した。これまでどおりのパソコン向けフル機能のアプリ上で、画面に直接ペンで描けるメリットをクリエイターにアピールするマイクロソフトにとって、アドビのWindows向けアプリは重要なポジションを占める。
iPad Proはクリエーターに最適なツール?
また、基調講演のデモでは、未発売のアップル iPad Proも頻繁に活用されている様子が印象的だった。前述のペンで素早くレイアウトデザインが組めるAdobe Comp CCでは、同じアプリをSurface Bookで動作させるよりもスムーズにペンのジェスチャーを認識していた。またPhotoshop Fixでは顔を自動的に認識し、表情を笑顔に変えるデモを、大画面とスムーズなタッチ操作で披露した。
限られたクリエイターとプレス向けに、iPad Proとアドビモバイルアプリのタッチアンドトライも開催され、iPad ProとPhotoshop Sketchなどを試したクリエイターを虜にしていた。これまで試してきた幾多ものペンとタブレットよりも、反応がよく使いやすい、というフィードバックは、アップルにとって自信を強めるものだったはずだ。
アドビのクリエイティブアプリは、iPad Proを「プロ」に売り込んでいくために必要不可欠な存在といえる。アドビがクラウド強化によって、タブレットをクリエイティブ作業に本格的に組み込めるようになったタイミングでのリリースは、タブレット活用の拡大に対するアドビとアップルとの間での綿密なやりとりが交わされていたことがうかがえる。
課題は、複数のデバイスやアプリにまたがるワークフローを、どのように管理するか。そうしたノウハウをどのように習得するか、という点だ。こちらについても、アドビが強化するコミュニティによって、共有されていくことを期待している。
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