2012年日本の事業会社の信用力見通しは、引き続き弱含み<下>《ムーディーズの業界分析》


化学

国内需要の停滞と、一部の国々における成長鈍化から、化学業界の12年の収益性は引き続き圧迫される、とムーディーズは予想している。ムーディーズが注視する必要のあると考える主要な点は、原油およびナフサの価格変動、アジアにおける需要動向、ユーロ圏金融危機が化学製品の需要に与える直接的または間接的影響、為替動向である。

また、自動車、家電、リチウムイオン電池、太陽電池等の最終製品業界の見通しも、化学メーカーの高付加価値品の業績動向を見るうえで引き続き重要な要因である。これら最終製品の市場は厳しい環境下にあり、これらの市場動向が化学メーカーの利益および収益性へ及ぼす影響を注視する必要があると考えている。

化学各社は、生産拠点の地理的分散や、製品ポートフォリオの見直しを含め、コスト構造の見直しを行ってきており、過去数年間で財務の柔軟性を改善させた。しかし、ナフサ価格が再び上昇基調になり、そのコストを価格に転嫁できない場合、収益性は悪化するであろう。

中でも、ナフサ分解から事業展開している化学会社は、ナフサ価格の変動が大きい時期には、オレフィン製品における価格転嫁のタイムラグから、より大きなマイナスの影響を受ける傾向がある、とムーディーズは認識している。

日本の化学メーカーは引き続き、その技術を背景にコア製品市場の世界におけるプレゼンスを高めている。したがって、(海外企業との)買収や事業提携といった戦略的アクションが、円高も相まって増加するであろう。長期的な成長機会を確保するための資本的支出が増大するとみられることから、フリーキャッシュフローは限定的となるであろう。

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