2012年日本の事業会社の信用力見通しは、引き続き弱含み<下>《ムーディーズの業界分析》


自動車

ムーディーズは、世界の自動車業界の見通しを2011年9月に「ポジティブ」から「安定的」に変更した。これは、マクロ経済環境の悪化が、世界の乗用車需要を圧迫し、収益改善のペースを制約するとの見方を反映したものであった。マクロ経済状況が引き続き低調であるため、このトレンドは12年も継続するであろう。

日本の自動車メーカーについては、11年のかつてなく厳しい時期の後も、厳しい事業環境が続くとみられる。

日本の自動車メーカーは、新モデルを投入する新たなプロダクトサイクルに入っている。この点はポジティブなトレンドといえ、11年の東日本大震災およびタイにおける洪水後の回復にもつながることとなる。12年は対前年比ではポジティブとなるが、円高、景気減速、業界内競争の激化から、厳しい年となろう。とりわけ、円高は日本の自動車メーカーの収益性の大きな足かせとなっており、海外競合他社に対する競争力に影響を与えている。

ネガティブな環境の中でも、各社の業績は異なり、それが見通しに反映されている。日産(Baa1、ポジティブ)、ホンダ(A1、ネガティブ)、トヨタ(Aa3、ネガティブ)である。

たとえば日産は、大震災、津波、タイにおける洪水からいち早く回復し、世界における市場シェアを拡大し続けている。一方、トヨタは市場シェアの維持に苦戦しており、国内生産への依存度が高いことから円高の影響を受けやすい。そのため、見通しは11年末に「安定的」から「ネガティブ」に変更された。12年2月には、競争激化に伴う市場地位回復の課題を背景に、ホンダの見通しも「ネガティブ」に変更された。

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