ホークスの圧倒的強さを支える「3軍」の正体

選手が自然と育つ仕組みがそこにあった

プロとはいえ、主に育成選手や20歳前後の若手が中心のチームだけに、戦績は決して良くない。2011年の3軍発足時には、いきなり大学チームに連敗し、3戦目の福岡大戦でようやく初勝利を挙げた。この試合で3軍の主軸として2本の本塁打を放ったのが、当時ルーキーだった柳田悠岐。今季は打率.363、34本塁打、32盗塁と「トリプルスリー」を達成した柳田も、かつては3軍でプレーしていたことがあった。

実戦経験で鍛えられる

「3軍はケガさえなければ、野手なら年間200~300ほど打席に立つことができます。投手は高卒の場合はケガの心配もあるので、夏まではあまり放らせませんが、順調なら年間70~80イニングは投げられます」(小川3軍監督)

3軍に所属した経験のある選手たちに3軍の意義について聞いてみると、やはりみな一様に「実戦を経験できること」を挙げた。練習だけでうまくなることは難しいのだろうか。小川3軍監督に聞いてみた。

「もちろん練習のなかで上達する技術もありますが、試合でなければ身につかないことは多いです。自分の力が通用するのかは、実戦で試さないとわかりません。あとは状況に応じた判断力など、試合でなければ鍛えられない部分がありますね」

2013年ドラフト4位で、仙台育英高からソフトバンクに入団した上林誠知は、ルーキーイヤーの2014年をほとんど3軍で過ごした。地道に実戦経験を得て、2年目の今季は2軍の主力となり、打率.334でウエスタン・リーグの首位打者を獲得。1軍にも昇格して、15試合で打率.318、2本塁打と結果を残した。上林はこの2年間を「あっという間でしたが、充実した2年でした」と振り返る。来季は1軍定着が期待できる、飛躍の年になりそうだ。

ソフトバンク3軍は指導陣が充実していることも特徴だ。小川3軍監督をはじめ、なんと8人の指導者がいる。だが、1軍から3軍まで合計26人もの監督・コーチがおり、これだけ多いと「船頭多くして船山に登る」という事態にはならないのだろうか。だが、小川監督はその懸念を否定する。

「選手が迷うようなことさえなければ大丈夫です。むしろコーチがたくさんいることで、いろんな考え方に接することができる。やはり、選手によって指導法の『合う』『合わない』があります。そこでさまざまな引き出しの中から自分に合うものを選んでいけたら、成長できる可能性は上がっていきます」

このように体制が整ってくると、選手が自然と育っていく。今季、リリーフとして優勝に貢献した二保旭、飯田優也はともに入団時は育成選手だった。

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