「また“あの団地”出てきた」「いつか住みたい…」 NHK『しあわせは食べて寝て待て』に登場する《レトロ団地》がブームになっている“なぜ”
そして、このコミュニティこそが、団地における人間関係を支えている、と言えます。このドラマでも、団地における人間関係の心地よさが、マンションとの対比として描かれています。
また、同じくNHKの『団地のふたり』(2024年)でも、同じ滝山団地がロケ地となっていました。
このドラマでも、団地で生まれた2人の幼馴染(小泉今日子さん演じる「ノエチ」と小林聡美さん演じる「奈津子」)が、実際の滝山団地のさまざまな場所をロケ地として、年月を経てもやわらかく交流する様子が描かれています。
滝山団地のどこか懐かしい風景に、そこで暮らす人たちの人間関係のちょうどいい距離感。これが、現代のタワーマンションにはない情景として、今の視聴者に求められているのかもしれません。


「団地は憧れだった」1960年代
さて、そんな団地が描かれた作品には、過去どのようなものがあったのでしょうか。団地が新しい時代を象徴する住宅だった1960年代から、映画の世界でも団地は「憧れの場所」として描かれていました。
小津安二郎監督は、代表作である『秋刀魚の味』(1962年)をはじめ、団地を舞台にした映画作品を多数生み出しています。今年開かれた展示会「団地と映画―世界は団地でできている」では、この時代を初期の「団地への憧れ期」であると設定しています。
また、森田芳光監督による映画『家族ゲーム』(1983年)は、松田優作さんが主演した、団地に住む4人家族の物語。当時の「核家族」の問題がリアルに描かれた名作です。
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