いわゆる「人を欺く文化」に対しては、注意の上にも注意が必要だ。中国における信用調査や他人の風評はほとんど役に立たない。うわさ話を信じて安易な取引を行っていると、現在のように経済環境が悪化したときに、詐欺にあったり債権回収が遅れたりということが頻発する。必ず「現場」に行って、「現物」を確認し、「現実」的な対応をする。リスクのない取引であるかどうか自ら確認すること。
第5条「日本人特有の主観的観念を捨てて客観的事実を重んずべし」
日本人の思い込みやあいまいさが、トラブルの原因となることも多い。なにしろ、契約書をよく読んでいない日本人が多い。欧米人やインド人は、契約書にすべて細かく盛り込んだうえでビジネスや交渉に臨むが、何故か日本人は契約書を軽く扱う傾向にある。欧米企業と比べて、中国企業との裁判で敗訴するケースが圧倒的に多いのは、契約書の不備が原因だ。
バブルの崩壊はこれからが本番である。中国政府はあの手この手で人為的な経済復活政策を打ち出すが、しょせん対症療法でしかない。長い時間をかけて膨れ上がったバブルは、弾けない限りさらに膨れ上がるし、抜本策を先延ばしにするほど悲惨な結果が待っている。リスクを抱えている企業ほど楽観的な情報だけを信じがちだが、客観的な事実を注視することだ。
以上、参考になっただろうか。トラブルに巻き込まれるのは、相手だけに非があるのではなく、自分たちにも落ち度があることを忘れてはいけない。私は、日本人と中国人は兄弟のような関係にあるとみている。ある時は日本が兄貴で、ある時は中国が兄貴というように、長年培ってきた歴史があり、それ故に「甘え」もある。
日本は成熟した民主国家でソフトパワーを発揮できる技術大国。中国は世界第2位の経済大国。両国の協力がアジア圏のみならず世界経済の発展に資するという使命感と覚悟を共有できれば、怖いものはない。
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