なぜ小林氏は中国当局に21回も拘束されたのか
中村 最初に小林さんにお聞きしたいのは、「なぜ、そんなにも多く拘束されるのか」ということです。テレビ記者の中では小林さんがダントツだと思うのですが。
小林 ダントツかどうかはわかりませんが、総じて言えば、新聞記者よりもテレビ記者のほうが拘束はされやすいと思います。
どうしても映像を押さえる必要があるので、なるべく現場に近づかなければなりませんし、また、ビデオカメラなどの機材は小型化しているとはいえ、撮影していればやはり目立ってしまいます。新聞記者はメモだけですから、一般人に紛れこみやすいですよね。
中村 小林さんが中国に赴任される以前には、あまり記者が拘束されるといった話は聞かなかったように思います。昔からテレビ記者の拘束は多かったのでしょうか。
小林 私の先輩たちの時代は、そもそも中国で外国メディアが取材するということに厳しい制限がありました。当時の取材と言うと、地方、特に農村地帯に行くためには事前に共産党の許可を取らなければなりませんでした。
そして現場に行くと、共産党が取材対象となる人を周到に準備していて、「さぁ、取材してください」という感じだったんですね。
貧困生活を送っていて政府に不満があるはずの農民が、「共産党のお陰で、幸せに暮らしています」などと言うんです。共産党側が用意したものを伝えさせられるので、なかなか自由に報道することはできない時代でした。
中村 日本に伝えられる記事もほとんどが、「人民日報」などが報じたニュースの伝達にすぎなかった。
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