中村 日本には物騒なニュースばかりが伝えられているので、誤解している人も多いかも知れませんが、中国のほとんどの人は「オープン・マインド」。開けっぴろげで、おおらかで、温かい人が多い。だから、小林さんを拘束してもすぐに解放してくれる(笑)。同じ事をロシアで起こせば、すぐには出られない。それどころか、生命の危機につながりかねない。
小林 ロシアでは、外国記者が何人も殺されていますよね。中国の場合、生命を奪うことまではしない。私も21回拘束されたものの、ほとんど1時間以内に解放されている。一番長かったケースでも8時間です。
中村 東アジアは総じてやさしいですよね。ヤバイのはアフガニスタン以西。高価な時計を外し忘れて寝てしまうと、朝、腕ごと切り落とされていたなんていう話を聞きます。
共産党には、なんともいえない「ゆるさ」がある
小林 警察署に連行されても、ソファに座らされ、お茶をいれてくれる。地方の警察や役人たちは、現場で怪しい人物を見つけたら習慣的に「まず捕まえろ」となります。
ただ、身柄を拘束してみたものの、パスポートに取材ビザはあるし、正規の記者証を持っているし、違法行為はしていない。「これはまずい」と焦るわけです。なにしろ、外国メディアには表向き取材の自由を認めているわけですから。
拘束した時とは打って変わって、機嫌を損ねずに帰ってもらわなければという必死の姿勢が感じられますね。そうなると、「あなたの身の安全のために、お連れしました」などと言い訳がましいことを言い、中には「空港までお送りするので北京にお帰りください」というケースもありました。取材はされたくないけど、下手に手出しもできない。厄介者は追い払うに限る、というわけですね。
日本人は共産党というと、厳格なイメージがあるのですが、中国の共産党には、なんとも言えない「ゆるさ」があるのです。
中村 たしかに。習近平国家主席は、国内の治安維持強化のために「情報統制」にも力を入れていると言われていますが、ただ、中国の都市部では、月1000円程度で違法ネット接続し、統制されていない情報に自由にアクセスできている環境が常態化しています。VPNと言ったかな。私もそのサービスを使って、北京からフェイスブックやツイッターに投稿したりしています。そういったサービスが何十種類もあります。
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