また、私の知り合いで、やはりCCTVの社員だった30代の男性が、最近、独立して番組制作会社を立ち上げました。
「中国での日本に関する報道の仕方に疑問を持っている」と言うんです。「実際に日本を訪れて、自分の目で見た日本の姿を中国でドキュメンタリーとして伝えたい」と、気合が入っています。
テレビで放送するのは不可能なので、やはりネットでの公開を想定しているようですね。こうした事例が相次いでいることが、「変わりつつある中国のジャーナリズム」を象徴しているように思います。
ネットの取り締まりは「いたちごっこ」
中村 今後の中国のメディアはどうなるのでしょうか。自由化に向かうのでしょうか。
小林 非常に難しい質問ですね。先に述べたように、メディア側のジャーナリズム意識は高くなっているし、国民の要求も高くなっている。一方で、習近平国家主席はこれまで以上にメディア統制を強めています。
中国の国民は新聞やテレビの報道を信じず、ネットの情報を頼るようになっているので、当局はネットの取り締まりもさらに強化していくでしょう。しかし、ネットの取り締まりはいたちごっこ。
海外からも発信できるので、完全に取り締まることはできません。そのため、取り締まるための財政コストは増え続けていくでしょう。国内の治安維持のために公安の予算や人員を増やし続けているのと同じですよね。
統制を強めれば強めるほど国民の反発にあい、より統制を強めざるをえないというジレンマを抱えています。
いずれにしても、自由な情報を求める国民の声はますます大きくなるでしょうし、自由な情報を獲得する手段もますます多様になるでしょう。
したがって、中国政府が国民を情報統制していくことは、いま以上に困難になっていくのは間違いないでしょうね。(第2回に続く)
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