中国の情報統制は「抜け道だらけ」だ 「拘束王」小林史憲×「レアメタル王」中村繁夫

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共産党が国内向けに報道されたくない問題は「民主化・人権問題」「民族問題」「格差問題」「環境問題」などです。

環境は国民が「反政府」で結束するヤバイ問題

これらの中で、いま共産党が一番神経を使っているのが「環境問題」かもしれません。日本でも報道されていますが、「PM2.5」は深刻な大気汚染を引き起こしています。また、工場の排水によって河川の汚染も悪化している。

こうした「環境問題」は自分自身や子供の生命に関わることですし、「食の安全」と同様、身近な暮らしの問題ですよね。ですから、普段、政治的な問題には口を出さないような女性、特に子供を持つ親たちが声を上げて政府を批判することになります。

すると、あっという間に批判勢力の数が膨れあがってしまいます。民族問題や格差問題では、国民の間でも立場によって意見が分かれますが、環境問題はみな一律に被害者なので、国民が反政府で結束することになりますからね。

中村 政府批判といえば、日本では人民解放軍の予算増にばかり目が行きがちですが、実は中国では、国内の治安維持にあたる「公安(=警察)」の予算も増え続けていますよね。

小林 はい。その理由は明白です。人民解放軍は軍隊ですから、基本的には「対外国(用)」ですよね。つまり、戦争への備え。一方、公安は「対国内」で、治安維持が主な役割です。いま、中国の共産党政権にとって、外国と国内のどっちが怖いか、というと間違いなく国内のほうでしょう。中国は周辺国との間で摩擦を引き起こしていますが、経済的な結びつきも強まっていますから、戦争となるとあまり現実的ではありません。

一方で、国内には多くの問題を抱え、各地で暴動が多発しています。また、仮に日本と戦争となったとしても相手は1億2000万人ですが、国内で治安維持の対象となる人口は約14億人もいるわけです。ですから、必然的に公安が大きくならざるを得ない。

デモや暴動などの現場に出てくるのは基本的に公安ですよね。現場ではよく「武装警察」と呼ばれる武器を所持した部隊を目にしますが、あれは1980年代に人民解放軍から分離した組織です。国内の治安維持を専門とするために、わざわざ作られた準軍事組織ですね。

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