「戦後70年」が近づいてきた。そこで今回はアジアで最も重要な国家である中国や、その他の国々との付き合い方を考えるうえで、日頃私が考えていることをご紹介したい。キーワードはズバリ「ベトナム的発想に学べ」ということだ。
大国の中国に小国のベトナムが負けない理由
日中関係は表面的には、ひところの一触即発のような状況を脱したとはいえ、相変わらず好転したとは言えない。むしろ、両国関係の本質的課題が解決されないまま、地中の奥深くで閉ざされてしまっているといったほうがいいだろう。
ある意味では、米国とキューバの急激な関係改善がそうであるように、表立った動きがあるほうが、互いの課題に与しやすいのである。では、マグマの表面だけが冷えて固まってしまったような、現在の日中関係をうまく揺さぶり、地中深くに横たわる課題解決につながる起爆剤になるものは何か。それこそが「ベトナム的発想に学ぶ」ということである。
この連載でも「中国に負けないベトナムから何を学ぶか」「中国も白旗?ベトナムの『じらし戦法』」などでも書いた通り、ベトナムと中国との関係の複雑さは日本のそれとの比ではない。長い歴史の中で、ベトナムは史実として明らかになっているだけでも中国との15回もの戦いがあり、その都度徹底して抵抗しつつ、一方では朝貢外交をしながら「北属南進」と呼ばれる南への領土拡大も図っていたのである。
最近では、西沙諸島における中国との衝突でも、自国の主権は徹底的に守る強硬姿勢を示し、国際世論を味方につけつつも、中国との関係を破壊する「決定的な衝突」は避け、結果的に中国側を撤退させASEANを団結させるという「勝利の結実」を得た。
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