中国は暴落した「レアアース」をどう売るのか 1キロ150ドルが今はたった2ドルに

✎ 1〜 ✎ 59 ✎ 60 ✎ 61 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
中国はこれからレアアースでどんな戦略をとるのか(4月のバンドン会議で、AP/アフロ)

なぜ米レアアース最大手は、追い込まれたのか?

6月2日、アメリカ最大のレアアース(希土類)生産企業であるモリコープ社が、「3250万ドル(約40億円)もの社債利払いを見送る」とのニュースが飛び込んできた。

米大手紙などによると、破産申請も準備しているという。原因は世界のレアアースの約8割を占めるとも言われる中国が輸出緩和をしたことでレアアースの市況が悪化し価格が暴落、資金繰りに窮したからだ。

読者の皆様は、2010年9月、沖縄県の尖閣諸島での「中国船衝突事件」が発端となり、中国のレアアースの輸出が禁止されたことを覚えておいでだろうか。この事件をきっかけに、日本にもレアアースが入らなくなった時期が1年以上続いた。レアアースの国際市況は暴騰に次ぐ暴騰を記録したのだ。ここらへんの経緯は東洋経済オンラインの「日本が中国に『貿易戦争』で勝った日」で書いており、ぜひ振り返っていただきたい。

その間、アメリカではモリコープ社が、オーストラリアではライナス社がレアアースの生産を緊急に立ち上げたこともあり、両社は一過性ではあるが大儲けをした。

当時は「中国以外のルートからの安定供給が可能になるならレアアースがいくら高くても仕方がない」と考えたから、日本にとっては「天の恵み」であった。問題はここからだ。それを受けて、モリコープ社は増産体制を整えるために強気の投資を敢行した。

われわれのような、レアアースの専門家に言わせてもらえるなら、実はモリコープ社の安易な経営方針に対しては常日頃不安感を抱いていたので「やっぱりそうか、思ったより早くその日が来たな」といった気持ちだ。

次ページ国際貿易の舞台裏で何が起こっているのか
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事