中国のレアメタルバブル崩壊が近づいている

「社会主義市場経済」に潜む「危ない構造」

証券会社で心配そうに株価をみつめる中国の個人投資家。レアメタル市場もバブル崩壊寸前で、個人が大きな損失を抱えている(写真:AP/アフロ)

中国株が暴落している。上海の総合指数は約3週間のうちに一時約30%も下落、大変なことになっている。

前回の記事「中国は暴落した『レアアース』をどう売るのか」では、米国最大のレアアース生産大手であるモリコープの経営破綻危機とレアアース(希土類)市場の暴落の関係について書いたが、おかげさまで大きな反響があった。そこで、今回も中国の「バブル崩壊」を理解するうえで重要な、同国のレアメタル市場(泛亚有色金属交易所=汎太平洋レアメタル取引所、英文表記での略称はFYME)について書いてみたい。

今回、お伝えしたいのは以下の2つだ。一つは、「レアアース」よりも規模が大きな「レアメタルバブル」が推定数千億円規模の単位で膨れ上がっており、今や「危険水準」を超えているということだ。

もう一つは、株式市場もそうだが、「社会主義市場経済」のあいまいさだ。現在、中国の株式市場では露骨な株価維持対策が行われているが、マーケットに対する当局の考え方がいかに場当たり的か、ということである(日本もあまり大きなことは言えないのだが)。

中国バブルに「悪乗りした」レアメタル取引所

ここでレアメタルとレアアースをご存じない方のために簡単に説明させていただくが、レアメタルとは経産省が指定した31品目47元素の希少金属を指す。一方、レアアースとは、その中の17元素のことを指す。

非鉄金属の中でも銅、鉛、亜鉛、アルミなどのベースメタル(メジャーメタル)は、ロンドン非鉄金属取引所(LME)を中心に取引されている。だが、レアメタルやレアアースの取引所は取引数量が少ないので、日米欧には取引所は存在しない。

一般的には金属雑誌やオンラインなどを参考指標にしながら相対取引はされているが、その場合でも売り手と買い手の価格が合理的に決定されるとは限らない。従ってレアメタルはLMEのような市場取引には馴染まず、これまでも上場されることはなかった。

ところが中国では何と、レアメタルの取引市場が、バブル景気に乗ってスタートしたのである。その取引所が「泛亚有色金属交易所」(FYME、The Fanya Metal Exchange の略)というわけだ。設立は2011年4月で雲南省(昆明市)にある。「泛亚」とは、冒頭のようにパンパシフィック(汎太平洋)の意味である。

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