前回は反日感情の実体について書いた。今回は、中国経済が減速する中でトラブルを回避しビジネスで勝ち抜くためにはどうしたらいいのか。その心得をお伝えしよう。
賄賂撲滅、高級宴会禁止が経済低迷の一因
コネが幅をきかせ、賄賂のやりとりが当たり前の社会と言われてきた中国。習近平政権は賄賂だけでなく、高級宴会を禁止しているが、中国における宴会は単に遊興目的だけにあるのではない。
53度と世界で最もアルコール度が高い白酒(バイチュー)は、お互いの距離感を縮めビジネスの活性化に役立っている面もある。高級宴会禁止令が出てからビジネスの裏情報が入手しづらくなったのか、何となくビジネスが低調になった気がしてならない。個人的には、毎晩の宴会責めから解放されて助かっているのだが――。
高級白酒代表のマオタイ酒の価格は一時250㌦をつけていたが、いまや半値八掛になっている。ニセのマオタイ用に80元で取引されていたマオタイ酒の空きビンがタダになったという、いかにも中国らしい裏話も聞く。高級酒を贈るのも一種の賄賂。裏市場で換金できるのだが、その裏市場も冷え込んでいるのだ。
習近平政権は賄賂漬けになった高級官僚などを逮捕してきたが、最近では行き過ぎて経済が低迷し始めているらしい。実際、私の関係しているレアメタルの工場などは、高級幹部が全員逮捕されたために経営に支障が出ている。共産党の目が光っているために新しい幹部も思い切った手が打てず、事業が下降線をたどっているのだ。
国民は、賄賂で私腹を肥やしてきた官僚たちが逮捕されるのを拍手喝采していたが、中には冤罪のケースもあり恐怖政治の様相も呈してきた。賄賂のやり取りというのは、誤解を恐れずにいえば一種の文化といえる面もあり、額が少なければ国民も問題にはしないのである。早い話が、賄賂はある種のマージン収入のようなもの。契約書に示せば取扱手数料だが、なぜか中国人は、袖の下やアンダーテーブルで決済するのが好きなのである。
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